なぜ「同じデザイン」でも伝わり方が違うのか?
「デザインは同じ構成なのに、あのクリニックのサイトだけ印象がいい」 そう感じたことはありませんか?
文字の量も、写真の数も大差ない。 それでも、あるサイトは“信頼できそう”に見え、 別のサイトは“なんとなく不安”に感じてしまう―― その違いを生み出しているのが、色の力=配色デザインです。
たとえば、白と水色を基調にしたサイトは清潔で誠実な印象、 ネイビーとゴールドなら専門性と上品さを感じさせます。 ピンクやベージュを加えれば温かみとやさしさが生まれる。
色は“言葉よりも早く伝わるメッセージ”です。 患者様が「この医院なら安心できそう」と感じるまでのわずかな時間、 配色がその第一印象をつくっているのです。

確かに…うちのサイト、すっきりはしてるけど、どこか冷たく見える気がします。



それ、まさに配色の影響なんです。
医療サイトでは“清潔感”を重視しすぎて、無意識に冷たく見えてしまうことも多いんですよ。
清潔感を伝える「青・水色」の心理効果
医療サイトで最も多く使われるのが、青系の配色です。 青は「清潔」「誠実」「冷静さ」を象徴し、信頼を得たい医療分野と非常に相性が良い色。 淡い水色はやさしさと明るさを、濃い青は落ち着きと信頼感を感じさせます。
ただし、青ばかりを使うと冷たく見えてしまうこともあります。 そこにベージュやグレーを少し足すだけで、ぐっと安心感が増すのです。



なるほど。青って万能かと思っていましたが、使い方次第なんですね。



そうなんです。
青は“どんな青を、どの割合で使うか”がポイント。
清潔感だけでなく、人の温度を感じるバランスが大切なんですよ。
- 淡い青+白 → 清潔で明るい印象
- 濃い青+グレー → 専門的で信頼感のある印象
- 青+ベージュ or ペールピンク → 冷たさをやわらげるバランス
青系は「正解」に見えがちですが、組み合わせの工夫で印象が変わる色です。 “冷静さ”を超えて、“温かい信頼感”を与えるためには、中間色を混ぜる柔らかさがポイントです。
安心感を与える「グリーン・ベージュ系」
グリーンは自然・癒し・安定を象徴する色で、 見るだけで人の緊張をほぐし、穏やかにさせる心理効果があります。 そのため、小児歯科・内科・予防歯科などでよく用いられます。
また、グリーンとベージュを組み合わせると、温かく親しみのある印象に。 グリーンは安心感、ベージュはやわらかさをプラスすることで、 患者様が「話しやすそう」「ここなら通える」と感じやすくなります。



院内がグリーンなので、サイトも合わせたほうがいいんですね?



そうです!
院内の色とサイトの配色を揃えることは、信頼を可視化する方法なんです。
来院前の印象と実際の体験が一致すると、患者様の満足度が自然と上がります。バランスが大切なんですよ。
- 淡いグリーン+ホワイト → 清潔でナチュラル
- グリーン+ベージュ → 落ち着きと温かみ
- グリーン+ブルー → 清潔感と安心感の両立
ナチュラルカラーの組み合わせは、リラックス空間を連想させる効果があります。 とくにベージュやアイボリーを背景に使うと、“木のぬくもり”や“人のやさしさ”を感じさせることができます。
専門性・高級感を表す「ネイビー・グレー」
ネイビーやチャコールグレーは、専門性と高級感を象徴する色。 落ち着き・知性・誠実さを感じさせるため、 再生医療・審美治療・矯正専門など、高い信頼を求められる医院で多く使われます。
ネイビーは、白との組み合わせで清潔感を保ちながら、品格ある印象を演出できます。 グレーを取り入れることで、控えめで洗練された雰囲気も作れます。



ゴールドを使うと派手になりませんか?



大丈夫です。
“アクセント程度”に少し使うのがコツ。
たとえばロゴやボタンの縁取りに入れるだけでも、“上質さ”を感じさせるんです。
- ネイビー+ホワイト → 清潔で誠実な印象
- グレー+シルバー → 洗練された印象
- ネイビー+ゴールド → 品格と特別感を演出
これらの組み合わせは、“落ち着きのある信頼”を伝えたい医院に最適。 強いコントラストではなく、トーンの統一感で差をつけるのがポイントです。
温かみを添える「ピンク・オレンジ系」
ピンクやオレンジは、“冷たさ”を和らげる色。 特に女性やファミリー層を対象とする医院に向いています。
ピンクは優しさ・思いやり・安心感を、 オレンジは元気・温もり・親しみやすさを表現。 どちらも、患者様との心理的な距離を縮める効果があります。



ピンクを使うと甘くなりすぎませんか?派手になりませんか?



ペールピンク(淡いトーン)なら上品で好印象です。
白やグレーと組み合わせることで、柔らかく上質なデザインになりますよ。
- ペールピンク+グレー → 上品で優しい印象
- オレンジ+ホワイト → 明るく親しみやすい雰囲気
- ピンク+ブルー → 清潔感とやさしさを両立
メインカラーとして使うよりも、アクセントとして“添える”配色が効果的。 ボタンやアイコン、セクション区切りなどに使うだけで、医院の“温度”が伝わるサイトになります。
まとめ|色は「感情をデザインするツール」
配色は、ただ“見た目を整える”ためのものではありません。 それは、感情を設計するデザインです。
青は信頼を、緑は安心を、ピンクはやさしさを。 色はそれぞれが患者様の心に働きかけ、医院の印象を形成する重要な要素となります。



色って、最後に決めるものだと思っていました。
実は最初に考えるべきなんですね。



そうなんです。
色は“理念を視覚化するツール”。
医院の想いを色で表すことが、ブランディングの第一歩なんです。
- 配色は「感情の設計図」
- 医療サイトでは「清潔感+安心感+専門性」の3軸で考える
- 医院の理念・対象層・院内の雰囲気に合わせて色を選ぶ
- 色は“第一印象を決める言葉”である
「このサイト、なんかいいな」と感じる理由―― それは、ほとんどの場合、“色が語っている”からです。
見えない安心感を生むデザイン、それが配色の力なのです。



今日の話を聞いて、色の選び方の大切さがわかりました。



それが一番の気づきです。
次回は「余白とレイアウトで生まれる“安心感”のデザイン」。
詰め込みすぎない構成が、どう信頼につながるのかを解説しますね。
③ 余白とレイアウトで生まれる“安心感”のデザイン
詰め込みすぎない構成で、読みやすく信頼されるサイトづくりのコツを紹介します。
- 色は第一印象を左右する最大の要素
- 医療サイトでは「清潔感・安心感・専門性」を軸に選ぶ
- 青は信頼、緑は安心、ピンクはやさしさを表す
- 理念や対象層を踏まえた配色設計がブランディングの鍵