1.医院デザインレポートの目的=“印象”を運用可能な指標に変える
パソコン苦手な院長アクセス数や予約数は見ています。でも「ブランド価値」が上がっているかは分かりません。



ブランドは約束×体験×一貫性の積み重ね(C1〜C7参照)。
そこで、量(露出)・質(印象)・運用(体制)の3軸で“見える化”し、次の改善を決めるのがレポートの役割です。
- 露出(Reach):指名検索・表示回数・到達
- 印象(Perception):口コミ語彙・滞在・回遊
- 運用(Operation):更新回数・掲示整備・教育実施
2.レポートの収集先:数字と“ことば”を両方集める



どこからデータを取れば良いか迷います。複雑なツールは使えません…。



最小構成でOK。GA4・GSC・Googleマップ(GBP)・CMS・SNSの5つから取得すれば十分です。
数値だけでなく患者様やスタッフの「語彙」を拾うのがポイント。
| 収集先 | 指標 | 目的 |
|---|---|---|
| GA4 | 直帰率/滞在時間/CVR | “読みやすさ→行動”の変化を見る |
| GSC | 指名検索数/クリック率 | “医院名で探される度合い”を把握 |
| Googleマップ | 口コミ件数/語彙・平均★ | 言葉の一貫性と信頼の兆し |
| CMS(WP等) | 記事更新数/FAQ追加数 | 運用体制の継続性を可視化 |
| SNS | 保存数/プロフィール遷移 | 「共感→調査」への橋渡し度 |
3.四半期フォーマット:A4×4ページで統一



分厚い資料は回りません。最小で回るフォーマットは?



A4×4ページで十分。だれが作っても同じ見た目にするため、構成を固定します。
- P1:サマリー(今期の一言・総括/主要KPI・改善一手)
- P2:露出(指名検索/表示回数/SNS到達)
- P3:印象(口コミ語彙・滞在・回遊、名言ピック)
- P4:運用と次の一歩(更新実績・教育・掲示/来期アクション)
「一言サマリー」を必ず最上部に。
例:「『写真で共有』の実装が進み、口コミに“説明が分かりやすい”が増加」
4.“語彙”の見える化:ブランドは言葉で育つ



数値は上向きですが、ブランドが育っている実感が薄いです…。



口コミ・アンケート・SNSコメントのキーワード出現をトラッキングしましょう。
ステートメント(C3)の一言に“語彙が寄ってくる”ほど浸透しています。
| 語彙カテゴリ | 今期件数 | 前期比 | メモ(引用1行) |
|---|---|---|---|
| 写真で分かりやすい | 12 | +4 | 「画像で説明してくれて安心でした」 |
| 痛み配慮/やさしい | 15 | +2 | 「注射が怖くなかった」 |
| 通いやすい/待ち時間 | 9 | ±0 | 「LINEで順番が分かる」 |
5.“行動KPI”で誇張なく語る(ガイドライン配慮)



成果を強く言いたいとき、誇張にならないか不安です。



行動KPIで語れば誇張になりません。
「◯◯を実施した結果、患者様の△△という声が増えた」という姿勢+根拠の形に。
- ・「写真で3分説明」実施率(観察+自己申告)
- ・FAQ追加数/院内掲示更新回数
- ・接遇ロールプレイ実施回数(C5参照)
- ・スタイルガイド遵守率(色・余白・フォント)
6.ダッシュボードにする指標/しない指標



見たい指標が多すぎて迷子になります。何をダッシュボードに置くべき?



意思決定に直結するものだけを常設します。
「毎月の行動を変えない指標」は、レポート末尾に付録として退避。
| 常設(見る) | 付録(必要時のみ) |
|---|---|
| 指名検索数/口コミ語彙/予約CVR | 総PV/男女比/デバイス比 |
| 滞在時間・直帰率(トップ/理念/診療) | 新規/既存セッション比 |
| 更新回数(お知らせ・FAQ) | 細かなSNSインプレッション内訳 |
7.四半期レビュー:15分で意思決定まで到達する進行



会議が長くなりがちです。短時間で決める進め方は?



15分の型を固定しましょう。
共有(5分)→課題(5分)→決定(5分)で、次の一歩を1つに絞ります。
- 良かった点1つ(語彙かKPIの改善)
- 課題1つ(離脱・低CTRなど)
- 来期の一手を1つだけ決める(誰が/いつまでに)
8.テンプレ配布:PPT/スプレッドシートで回す最小運用



ツール連携は難しいです。手動でも回せますか?



十分回せます。
スプレッドシート1枚に毎月貼り付け、四半期にグラフ化。PPTはA4横で4枚テンプレを用意しておきましょう。
- ・「医院デザインレポート」PPT(A4×4ページ)
- ・語彙トラッカー(Googleスプレッドシート)
- ・ダッシュボード画像(GA4/GSC/GBPのスクリーンショット)
9.個人情報とガイドライン配慮
口コミ引用は個人が特定されない範囲で要約し、症例は同意・匿名化・注意書きを必ずセットに(B5参照)。
内部共有でも、キャプチャには個人名・メールアドレスが写らないようチェックします。
10.ぱそあんのまとめ
- ブランドは「露出×印象×運用」を四半期で見える化
- 数値だけでなく“語彙”の変化を追うと浸透が分かる
- A4×4ページの固定フォーマットで誰でも作れる
- 行動KPIで語れば誇張なく信頼を積み上げられる
- レビュー15分の型で“次の一手”を毎期1つ決める
次回シリーズのお知らせ(実装・運用・分析編へ)
次章では、WordPress設計・予約導線×LINE連携・スピード改善・アクセス解析など、実装と運用のベストプラクティスに入ります。
ブランディングで定めた“医院の声”を、技術面から支えます。

