目次
1.接遇スクリプトは「理念の翻訳書」
パソコン苦手な院長スクリプトというと“マニュアル化”のイメージで堅く感じます…。柔らかく活かせますか?



もちろんです。目的は“統一”ではなく再現性です。
理念を日常の言葉に置き換え、「誰が話しても医院らしく聞こえる」状態を作ります。
スクリプトで統一できる3つの場面
- ① 初診受付時の声かけ(第一印象)
- ② カウンセリング前後の説明
- ③ 会計・お見送りのひとこと
2.“理念を体験に変える”接遇スクリプト例



たとえば「痛みへの配慮」を理念にしている医院なら、どんなスクリプトになりますか?



以下のように、理念 → 行動 → 言葉の順に具体化します。
大切なのは「一言の“理由”を添えること」。患者様の不安が一瞬で和らぎます。
接遇スクリプト例:痛み配慮の理念を体験化
| 場面 | 行動 | 声かけ例 |
|---|---|---|
| 受付 | 初診問診票を渡す | 「痛みがある箇所を○で囲ってくださいね。治療前に必ず確認します。」 |
| 診療前 | 説明開始 | 「今日は“どのくらい痛いか”を教えてもらいながら進めますね。」 |
| 治療中 | 麻酔注射 | 「少しチクッとしますが、麻酔が効くまでしっかり時間をとりますね。」 |
| 会計時 | 次回予約案内 | 「次回も、痛みが出にくいよう同じ先生が担当します。」 |
このように「理念の翻訳」としてスクリプトを作ると、医院全体の体験が自然に整います。
3.体験マップで“患者目線”を共有する



接遇スクリプトと体験マップの違いは何ですか?



スクリプトは「スタッフの行動台本」、体験マップは「患者様の心の動きの地図」です。
2つを合わせて使うと、感情の起伏に合わせた接遇設計ができます。
患者体験マップ(例)
| フェーズ | 患者の感情 | 医院側の対応 | 活用ツール |
|---|---|---|---|
| 予約前 | 不安/比較中 | Webで安心感を伝える(FAQ・口コミ掲載) | 公式サイト・Googleマップ |
| 受付時 | 緊張 | 笑顔+名前呼びで安心感を演出 | 受付スクリプト |
| 診療中 | 恐怖/痛みへの不安 | 声かけ+写真説明で状況共有 | iPad・口腔内カメラ |
| 会計後 | 安堵/信頼形成 | 次回来院メリットを一言で案内 | 次回予約カード・LINE |
| 帰宅後 | 評価/共有 | フォローメッセージでケア | LINE公式/自動メッセージ |
このマップを壁に貼るだけでも、新人教育・カウンセリング設計・サイト制作の全てがブレにくくなります。
4.スクリプトとマップを連動させる手順
- ① 理念(例:「安心して通える歯科医療」)を設定
- ② 各フェーズでの患者心理を洗い出す
- ③ 対応スクリプトを一言化(声かけ+理由)
- ④ チームでロールプレイ&修正
- ⑤ 掲示・動画化で共有
特に④のロールプレイは重要。実際の声のトーンで練習すると、理念の“温度”がそろいます。
5.オンライン時代の“非対面接遇”も想定



電話やLINE対応など、非対面での印象差も気になります。



非対面こそ“文面のトーン”が重要です。
LINEでは「!」「絵文字」よりも、語尾のやさしさで医院の姿勢を伝えます。
LINE返信テンプレ(例)
❌「空いてます!どうぞ!」 → ✅「〇日の〇時でしたらご案内できます。ご都合いかがでしょうか?」
❌「予約完了しました!」 → ✅「ご予約を承りました。当日はお気をつけてお越しくださいね。」
画面の中でも“医院の声”が感じられる。これが非対面接遇の理想です。
6.ぱそあんのまとめ
ぱそあんのまとめ
- 接遇スクリプトは理念の“翻訳書”
- 患者体験マップで感情と行動を見える化
- 理念→行動→言葉の順でスクリプトを設計
- ロールプレイと共有で“温度”をそろえる
- 非対面対応でも同じトーンを保つ
次回記事のお知らせ(C6️⃣ 医院の信頼を支える「ビジュアルトーン設計」)
次回は、写真・色・余白など“見た目”で伝わる信頼感を整えるビジュアルトーン設計を解説します。
デザイン×理念の一貫性を実現するコツを紹介します。

